きぬさや自由帳

日々思うこと、旅日記、子育てのヒントなど

子どもの脳を傷つけていませんか?

暴言は暴力より子どもの脳を傷つける

児童虐待について書きましたが、子育てをしていてつい「きょうだいをくらべたり、無視したり、死ねなどの暴言をはいたり」していませんか?

暴言などの心理的虐待が子どもの脳を変形させているという衝撃的な研究結果が書かれている友田明美先生の「子どもの脳を傷つける親たち」という本を読みました。


この中で説明されていたのですが、体罰を受けて育つと、感情や思考の領域に影響が出て、物事を考えることをやめてしまう。親の都合で体罰を受けると逃れる方法を考えても無駄なので、脳が考えるのをやめてしまい、こうしたらいけないと考えなくなり、衝動性が強くなり犯罪を犯しやすくなる

また、暴言を受けて育つと聞く力に影響し、知能や理解力にも影響が出て、言われたことが覚えておけなくなる。そして面前DV(目の前で暴力を見せられる)にさらされていた子どもには、視覚野、知能、理解力に影響が出る

身体的暴力を受けた子よりも、暴言や面前DVなどの心理的虐待を受けた子の方が、脳へのダメージは大きく、トラウマ反応は深刻。これは、ストレスから自分を守るために、情報量を減らすべく、脳の形を変形させるという防衛反応だということです。


脳が防衛反応で変形するなんて怖いですよね!

実際に暴力を受けて育った子は、近くで手を挙げただけで防御の姿勢を取るのを教室で見かけることがありました。昔はけっこう多くの子どもに見られた反応で「親が手をあげているな」と思ったものです。また、自分を否定する言葉をかけられてきた子が登校を渋っていることもありました。

この本を読んで、心理的虐待の方が脳へのダメージが大きく、自閉症に似た症状や学習障害ADHDに似た症状が出るということにショックを受けるとともに、子育てをしている人やその周りの人、学校関係者もしっかりと知っておかなければならないことだと思いました。

発達障害とこれらの愛着障害からくる症状は専門家でも見分けにくいそうですが、どちらも早く気付いて治療につなげることが大事です。また、発達障害は成長すると改善されることもありますが、愛着障害は深刻化することが多いそうです。それは、愛着障害がさらにダメージを積み重ねていくからです。ダメージを受けない環境をいち早く整えてあげないと更に深刻化していってしまうということです。


また、これは現職の時も感じていたことですが、愛着障害を考える時には、親のケアも必要な事が多いということです。子どもが愛着障害を起こした陰には、親自身が愛着障害を抱えていることが多いそうです。他の問題でもそうですが、やはり親の悩み、不安が子どもに及ぼす影響はとても大きいのです。

ただ、状況が改善されると徐々に脳の変形ももとに戻るのだそうです。つまり、気付いて適切に処置すれば正常な発達ができるということです。

そのことについては次回にします。

詳しく知りたい人は下記の本を読んでみてください。とても読みやすい本ですので、保護者の方だけでなく先生方にも是非お勧めします!!

友田明美先生の「子どもの脳を傷つける親たち」NHK出版新書