学齢期の子どもがいると一番心配なのは、「いじめられていないか」ということではないでしょうか?
子どもの自死の報道があるたびにいじめが原因ではないかと言われます。
大人の世界同様、子どもの世界でもいじめは無くならないでしょう。ほんの少しの意地悪から、陰湿で継続的ないじめまで、程度は様々ですが起こります。
*薬師寺
無くならない理由の一つは、『いじめ』は「いじめられた」と思うことにより発生するからです。周りから見ていて問題ないことでも、受け取り方は人それぞれですから「いやだ」「いじめられた」と思ったら『いじめ』なのです。特に個性を尊重されて育ってきている子どもたちは、まさに受け取り方は様々、弱いところも嫌だと思う観点も様々です。そして、自分の嫌だと思うことは、人も嫌だと思うということがわかっていなかったり、人と嫌な事の感覚がずれているということに気付かなかなかったり。つまり、人との受け取り方の違いが多い今日だからこそ余計に『いじめ』がないほうが不思議なのです。
けれども、子どもの頃のこのような問題は、人とコミュニケーションをとるための訓練でもあり、自分を知るための学習過程でもあるのです。喧嘩したり、いじめられたり、いじめたりしながら人との付き合い方、自分の特性を知っていくのです。
ですからある程度のことはあって当然で、一人で乗り越えていけるようになってほしいのですが、そうは言っても心配ですよね。
そこでまず、普段から子どもとコミュニケーションを取りましょう。子どもが話しやすい雰囲気というのは、根掘り葉掘り聞くことではありません。夕食の時に家族がみんな自分の話ができるとか、「いつも見守っている」「あなたを愛している」というのを言葉や態度で見せておくことです。言いたくないことも、言いたくない時もありますから、無理に聞き出すのではなく子どもの様子をしっかり見て、「いつでも聞くよ。味方になるよ。」とそっと声掛けしましょう。
家でよく話す子も話さない子もいます。共有する時間をできるだけ持つことで、どんなことを思っているかを普段から知っておくことも大事です。例えば、食事の時間などは最適です。一日一度でも家族で食事する時間を持てるといいのですが。
また、友だちと遊んでいるときの様子も見ておけたらいいですね。授業参観の時などに少し早めに行くと遊び時間の様子も見ることができます。また、公園で遊んでいる時、家に遊びに来てもらっている時などはチャンスです。ただし、口出しはしないでおきましょう。どんな友だちとどんな関係を結べているのか知っておくことは良い事だと思います。
普段からのコミュニケーションの蓄積で、子どものサインが見えやすくなります。